法定耐用年数とは?蓄電池の寿命と長持ちさせるためのコツ
残念ながら蓄電池は一生ものではありません。寿命があり、年数が経てば使えなくなってしまいます。でも、長持ちさせることも可能だといいますから、使い方には気を配るべきでしょう。今回はそんな蓄電池の寿命と、長持ちさせるためのコツについて詳しく解説していきます。
蓄電池の寿命は?
家庭用蓄電池の寿命は「使用期間(年数)」と「サイクル」の2つの指標で表されます。
一般的な家庭用蓄電池の寿命は10年・4,000サイクルが目安だといわれています。しかし、蓄電池にもさまざまな種類があり、充放電の仕組み、使用時のスペックなどが異なるため、10年・4,000サイクルの寿命がすべての蓄電池に当てはまるわけではありません。
サイクルとは
蓄電池の寿命を表すサイクル数、これは1回の充電と放電を1サイクルとした場合、それを何回繰り返すことができるか表す数になります。蓄電池はサイクル数が増えていくごとに、少しずつ劣化していくもので、だからこそある程度の回数を経ることで寿命が来てしまうわけです。
容量が多い蓄電池は寿命も長くなる?
容量が大きな蓄電池は蓄えられる電気量も多く、そのため充電・放電の間隔が長くなるものです。これにより、サイクル数で見る寿命よりも、実際の寿命の方が長くなるケースも多いといわれています。
寿命の目安が来たらどうなる?
寿命が4,000サイクルとなっている蓄電池でも、4,000回充電と放電を終えたら突然使えなくなるわけではありません。この数字はあくまでも目安の回数であり、多少の不具合が出たり充電可能な容量が減ったりすることもありますが、使い続けることは不可能ではありません。
法定耐用年数とは?
蓄電池には法定耐用年数が設定され、それが6年とされていますが、これは税法上の耐用年数であり、実際の寿命とは関係ありません。資産的価値として蓄電池を見た場合、税法上は古くなれば古くなるほどその価値が下がるわけで、減価償却資産の価値がゼロになるまでの年数が法定耐用年数の6年ということです。
蓄電池の種類ごとの寿命の特徴
蓄電池は、電池の種類によって寿命の目安が異なります。種類ごとの寿命・特徴について見ていきましょう。
鉛蓄電池
寿命の目安は17年(3,150回)です。鉛蓄電池は蓄電池の中で最も寿命が長く、自動車や非常用のバックアップ電源として使われています。蓄電池はサイクル数を重ねることで劣化するのが一般的ですが、この鉛蓄電池の場合は充電・放電の回数が劣化に影響することがありません。しかし、過放電により性能が劣化するので行わないことが重要です。また、使用後は早急に充電することが大切です。
ニッケル水素電池
寿命の目安は5~7年(2,000回)です。ニッケル水素電池は蓄電池の中で最も寿命が短く、鉄道の地上蓄電設備やモノレールの地上蓄電設備、ハイブリッドカーのバッテリーなどに使用されています。外的要因でさらに寿命が短くなることが多いので、そうならないよう注意が必要です。寿命を縮めてしまう外的要因は、高温になる環境や電池温度の上昇などが挙げられます。
リチウムイオン電池
寿命の目安は10年(4,000回)です。リチウムイオン電池といえば、携帯電話やノートパソコン等のモバイル機器の電池としてもお馴染みでしょう。寿命の目安は、サイクル数なら4,000回といわれていますが、販売メーカーによっても異なり、実際には使用期間で10年から15年は使用可能だといわれています。ニッケル水素電池と同様に、外的要因により劣化し寿命が短くなってしまう恐れがあります。
NAS電池
寿命の目安は15年(4,500回)です。NAS電池は、世界初のメガワット級の蓄電容量を可能とした蓄電池で、日本ガイシと東京電力による共同開発により生まれました。工場などの大規模施設でバックアップ電源として使用されています。鉛蓄電池に次ぐ寿命の長さ、コンパクトで高出力といった特徴があり、長期の電力貯蔵も可能です。使用環境や使用状況により著しく劣化するということがありません。
蓄電池を長持ちさせるためのコツ
できる限り長持ちさせたい蓄電池、長持ちのコツをご紹介します。
常に50%程度を維持する
蓄電池の場合、0%になるまで使い切り、そこから100%まで充電するのはオススメできません。常に50%程度を維持できるように充電する、これが寿命を伸ばす充電の方法です。
設置場所の温度に注意する
蓄電池は暑さに弱く、高温の環境では寿命を縮めてしまいます。25℃を超える場所での使用は、充放電のサイクル数を縮めてしまい、劣化が進む原因となるので注意してください。
過充電や過放電をしない
容量を超えての充電や、放電させたままで放置することも、蓄電池の寿命を縮めてしまいます。適切な充電・放電になるよう心がけましょう。
充電方法に注意する
適当に充電を行うのではなく、製品の取り扱い説明書に従って正しく充電しましょう。不適切な電圧・電流を利用して充電すると、寿命が縮むだけでなく故障や不具合の原因にもなります。
蓄電池の種類によって寿命は異なりますが、使用環境や使用状況に配慮することで、長持ちさせることは可能です。蓄電池は法定耐用年数が6年と定められていますが、これは税法上の概念で寿命が6年ということではありません。もちろん、6年経過したら使ってはいけないということでもないので、できるだけ長持ちさせるために大切に使用してください。